鉄瓶の選び方 その1
鉄瓶の良し悪しを見分けるには、鉄瓶が作られる工程を考えてみるのが一番です。
基本的に、鉄瓶の価格の差は工程数の差に依存します。
だからこそ、鉄瓶の製造方法を学ぶことは大切です。
まずは、基本的なところである南部鉄瓶が出来るまでの動画を見てみます。
基本的な流れは、下記のとおりです。
1.鋳型を作る
2.文様(図柄)押し
3.鋳造工程
4.仕上げ工程
5.着色工程
南部鉄瓶は1750年頃使いやすい湯釜としてつくられたのが始まりです。
製法は鋳造の技術がつかわれ鋳型とよぶ枠にとけた鉄を流し入れてつくります。
それぞれの工程について詳しくみていきます。
1.鋳型を作る
・ 胴型の元になる外枠を水で湿らせ粘土をつくやすくします。
・ 粘土と砂を水でやわらかくして外側の内側につけていきます。
・ さらに粘土の粉をまぜた砂で型を作っていきます。
・ 馬と呼ばれるに道具に金属板をはさみ回しながら形をととのえます。
・ 金属板は実物大の図面から内側の形を映して作られます。
・ 砂をかためるため、水でといた粘土を接着剤として塗ります。
・ さらにやわらかい粘土をぬり形を整えていきます。
・ 胴型の中心を決めます。
・ 胴型を2つに分けつため、切れ目を入れます。
・ そそぎ口を作ります。
・ そそぎ口となる型を取り付けます。
・ そそぎ口の部分を粘土でかため、胴型を完成させます。
2.文様(図柄)押し
・ 胴型が乾くまえに真鍮の棒を使って文様を描いていきます。
・ 文様がしあがったら乾かして素焼きをします。
・ 素焼き後、次の作業のために内側にススを付けます。
・ 砂と粘土をまぜてかためた中子と呼ばれる型枠を胴型に入れます。
・ 胴型と中子のすき間にとけた鉄が入り鉄瓶の厚さになります。
・ 鉄瓶と同じ材料の金属片を中子の上におきます。
・ 尻型をのせると金属片が密着するので中子を固定することが出来ます。
・ 鋳型ができあがります。
3.鋳造工程
・ 鉄瓶の原料を溶鉱炉に入れます。
・ 約1500度の温度で鉄をとかします。
・ とけた鉄を取りだします。
・ 鋳型に鉄を流し込みます。
・ 充分に冷却した後、破壊します。
※)鋳型をあらかじめススをつけてあるので型から外しやすい
・ 同じ方法で鉄瓶のフタを作ります。
・ 中子をこわして取り除きます。
・ 鉄瓶の形ができあがります。
4.仕上げ工程
・ てきあがった鉄瓶を約800度の炭火の中で焼きます。
・ 焼くと鉄の表面が酸化してサビを防止する効果があります。
・ 高温で少し変形するのでゆがみを直します。
・ 水の中に入れて漏れを調べます
5.着色工程
・ 金属片をおいて出来てしまったクボミを、うるしにススをまぜてくぼみを埋めます。
・ 加熱した熱瓶の表面にうるしをぬり焼き付けます。
・ うるしはかたまるとつよい皮膜をつくりサビを防いでくれます。
・ 鉄サビを水にとかし酢を加えて「サビ汁」を作ります。
・ サビ汁にお茶を入れ「おはぐろ」とよばれる黒い液体を作ります。
・ 約100度に加熱した鉄瓶に「おはぐろ」をぬって、色を調えます。
こうして、南部鉄瓶はつくられます。
詳しくは、こちらの動画です。